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手仕事のある暮らし

 
手仕事のある暮らし

Tea&Space基幸庵 伊東青磁(せいじ)さん 久美子(くみこ)さん

 
目の前には唐津城。そして唐津湾へとそそぐ松浦川の河口に位置するTea&Space基幸庵。このお店を切り盛りするのは、店主の伊東青磁さん、久美子さんご夫婦である。日本茶と結納の店としてスタートし、和の甘味処であり、民芸品店という多様な顔を持つ今の基幸庵の形が出来上がったのはこの東唐津の土地に出会えたからだという。
 
煎茶、抹茶、オリジナルの和紅茶など 看板メニューのぜんざい 木曽(きそ)漆(うるし)の椀で頂く
 
舞鶴橋のたもとで一際目を引く基幸庵の外観。『渡り腮(あご)』と呼ばれる工法で作られている基幸庵は、出来る限り金物を使わず、木の持つ特性を最大限に生かして作られている。例えば込み栓と呼ばれる木の釘を使うことにより、万が一大きな地震が起きた際には先に込み栓が折れることで、梁や柱を守れるようになっている。またその木材は組み直して使うことが出来るようになっており、木の住まいを長い期間使うことが前提だった時代のあたりまえの技術が、建物の隅々に込められている。
 
基幸庵外観 店舗前の舞鶴橋からの風景
 
47年前に基幸庵をスタートさせた、青磁さんのお母様である先代の幸子(ゆきこ)さんには、若い頃から古い建物の良さに惹かれ「古民家再生を行いたい」という夢があった。中町からの店舗移転の際に、唐津や近郊の古民家を見て回ったものの中々思い描く物件に出会えなかった。そんな時、古民家再生の経験のある友人に「再生も良いが、100年の計で古民家になる家を建てれば良いのではないか。」というアドバイスをもらう。そこで「建築は最大の工芸である」という考えのもと、長きに亘り住み続けることが出来るようにと建てられたのが現在の基幸庵なのだ。外観は唐津の自然の景色や地形、風土などと調和がとれ、まるでずっと以前からそこに建っていたように、東唐津の土地になじむよう設計されたという。建物が完成するまで土壁塗りや丸太の皮剥ぎ、木材一枚一枚にえごま油を塗る作業など、工程の折々に家族みんなで携わったのも良い思い出の一つだそうだ。
 
 
店内のギャラリースペースには陶磁器、ガラス、漆、竹細工、木工、和紙、織物、染物等、様々な品ものが並べられており、そのすべてが職人の手仕事によるもの。直接仕入れにいくことを旨としていた先代の幸子さんは、器や布そのひとつひとつに、作った職人のこと、その風土や使用の必要性など、それぞれに背景があることを伊東さんご夫婦に話してくれたという。その思いはお二人に引き継がれ「作り手である職人さんたちと、使い手であるお客さまをつなぐのが自分たち民芸品店の役割ではないか。丁寧な暮らしに目を向ける機会が増えている中、ものを通して手仕事の良さを伝えて行きたい。単に仕入れて売るのではなく、その文化や地域性について知り、それを配り手としてお客様と共有して行きたい。」と青磁さんは語ってくれた。
 

取材日には「暮らしの工芸 欅(けやき) 庄司夫妻の手仕事展」が行われていた

 
お二人が自宅で使っている品の一部を見せてもらった。「夏は沖縄のやちむんにゴーヤチャンプルーを入れて出したいし、冬は土鍋で蒸し物や鍋料理を楽しみたい。仕事を暮らしの一部に取り入れて、自身も日々使い手としても楽しみ、喜びを感じています。」と久美子さん。普段遣いが1番落ち着くと持ってきてくださったのは漆の椀や、小鹿田(おんた)の皿など。「段々良い色になってきた。」と青磁さんが顔をほころばせるのは熊本の真竹で編まれた脱衣籠(かご)。元は青竹だが年々使い込むほどに色が変わる。
 
鮮やかな唐草模様のやちむん。他、漆の椀や
小鹿田の塩壺、曲げわっぱ等。
真竹の脱衣籠
 
取材の中で「この本に書いてあることが、本当に心に響くから。」と、久美子さんは子育てをしている私に一冊の本を貸してくれた。外村(とのむら)吉之介著『少年民藝館』。世界中の民芸品について、写真付きでわかりやすく解説されているその本の中で、外村さんは『心を変える道具』と題して次のように語っている。
 
《すべて私たちの使う道具類は、私たちの毎日になくてはならない友だちです。小さな道具でも、毎日使うものは、心をいつの間にか変えます。よそ行きの物や飾り物ではなく毎日一緒に働いてくれる道具。民芸品というものは健康的で無駄がなく、そして威張らない美しさを持っている『働き者の友だち』なんです》
 
「毎日の暮らしの友だちである道具こそ、自分自身の生活、そして心を豊かにしてくれるものだと外村さんが優しい眼差しで語りかけてくださるみたい。」と久美子さんは微笑む。私には今、数人ではあるが、働き者の友だちと呼べる存在が傍に居てくれている。本を読みながら、子供にも早く見つかるよう手助けしたいと思った。
 
最後に、いつか基幸庵が古民家と呼ばれるくらい歳月を経たとき、誰に住んでいて欲しいか聞いてみた。 「子供たちやその家族が住んでいてくれるかなぁ。でも誰かが借りていてくれてもいいな。木と土壁のたたずまいが更に風合いを増した建物に、愛着を持って住み着いていてくれると嬉しい。ここが東唐津の景色に溶け込んでいるといいな。」
 
唐津に生まれ唐津に育ち、唐津で商売をしながらも伊東さんご夫婦は「未だに観光気分」で唐津に暮らしているらしい。「少し歩けば唐津の海と浜。そこから浮岳が見える。松原を通る風も心地良いし、唐津城も松浦川も目の前で散歩も楽しい。」そんな風に語れる心の豊かさは、やはり職人の気持ちのこもった手仕事の品を楽しむ暮らしをしているからなのだろう。
 
私も目の前にある唐津の風景を当たり前の物として捉えるのではなく、普段の暮らしの中にありながらも特別なものとして、心豊かに伊東さんご夫婦のように暮らして行きたいと思った。
 
【Information】
Tea&Space 基幸庵
〒847-017 佐賀県唐津市東唐津1丁目9-21
TEL 0955-72-8188
営業時間 11:00~18:00 定休日 火曜日
WEB https://kikouan.com(2020年8月現在)
 
コラムニスト:田坂 朋子

福岡生まれ、唐津育ち。高校卒業後、近畿大学文芸学部芸術学科演劇芸能専攻へ進学。マンモス大学の人の多さに圧倒されながら、歌ったり踊ったり芝居をして4年間を過ごす。卒業後は唐津へ戻りCATV出演、ラジオパーソナリティやイベント司会などを行う。現在はFMからつでJOY☆ひる月曜・金曜、夕方チャンス金曜担当。やんちゃ盛りの女の子2人の子育て奮闘中。
 
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佐賀県唐津市西城内1-1
TEL. 0955-53-7149  FAX. 0955-72-9182
企画. 唐津市未来創生部移住・定住促進課
 
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