唐津暮らし〜ここちよい生活のはじまり

唐津の暮らしvoice list

【唐津人】JCCに魅せられた男

【唐津人】JCCに魅せられた男

JCC(ジャパンコスメティックセンター)
チーフコーディネーター小田切裕倫さん

「小田切です。初めまして、どうぞ宜しくお願いします。」

私の前に現れた男性は、クールビズ姿にサンダルを履いていた。私は最初少し驚いたが、そこには彼の飾らない人柄が表れていた。話を聞いていくと、徐々に彼の濃い履歴書が、明らかになっていった。

高校卒業後、音楽の専門的技術を身に付けたいと専門学校に入学したが、同時に都内のレコーディングスタジオで、ただ働きを始めた。勢いで飛び込んだ音楽業界でスタジオに3年間在籍。その後14年間フリーのエンジニアとして、様々なアーティストのレコーディングに携わった。小田切氏は10代の頃常々こう思っていた。

「40歳超えてダサイ大人にはなりたくない。」

彼にとってのダサイ大人とは、世代交代すべき時に、いつまでも自分のポジションを譲ろうとせず、席に居座り続けている大人達の事だ。そしてその言葉通り、彼は35歳の時に「もうこの業界で俺のやる事は終わった。」といとも簡単に転職、プライベートでは、結婚、子供の誕生と新たなステージへ進んでいった。

35歳で、音楽業界から退いた彼は、半年間職探しをしていた。そんな時、ある募集に目が止まった。“社長室業務募集“「カッコイイ!行ってみよう。」カッコイイ!が理由で、即決断、行動に出る。彼の人生において大きな決断をする時、全ては自分の直感に忠実に動いているのが分かる。なかなか出来る事ではない。

唐津市へ移住した小田切さんは気の合う仲間と時々ここでビールを飲みながら語り合う

気の合う仲間と時々ここでビールを飲みながら語り合う

そして、直感で行った会社は美容業界だった。美容の事なんて知識ゼロだったが、社長室直轄の下、数々の商品開発を手がけていった。そんなある時、とある疑問が湧いてきた。

「なぜ全国には気候や特産物がそれぞれ違うのに、それを生かした商品がないのだろう?」

その事を社長に話すと、直ぐに地域デザイン推進室のリーダーに抜擢された。そこで、各地方の美容に関して調べていくうちに、唐津にあるJCCに興味を持った。それから何度か唐津を訪ねるうちに、JCCの社員に「弊社の事業に興味があるなら、入社して好きにやってみたら。」「そうだ、じゃあJCCに入社しよう。」そこで、5年間お世話になった会社を退職、家族の反対を押し切り、東京から唐津へと移住してきた。

小田切さんはJCCに入社するため、5年間お世話になった会社を退職、家族の反対を押し切り、東京から唐津へと移住してきた

入社してまず厳木町(きゅうらぎまち)で1人暮らしを始めた。最初周りはコンビニ、カフェ、スーパー等、何もない環境に困惑したが、時間に余裕が出来たのを機に近くの山に入り、化粧品の原料になるものや、ご当地の特産物から商品化出来そうなものはないかと、日々探していた。では何故中心街ではなく厳木町を選んだのか?その答えは、ずっと東京で暮らしてきた彼らしい答えだった。

「最初グーグルマップで、厳木は唐津も武雄もすぐだからどこに行くにも便利だと思ったんですよ。」

しかし、地図上と実際の距離の違いは思いの外あり、都会暮らしの彼にとって、ローカル特有の交通の便の悪さは想定外だったようだ。そこで彼は考えを切り替え、新たな開拓地として、週末徒歩1時間以内で行ける多久駅に通っていた。

「多久駅いいんですよ。Wi-Fiやカフェもあって、お洒落な雑貨屋さんもあるんです。」

彼は少年のように、目をキラキラさせながら、私に嬉しそうに話してくれた。しかしもっと本格的に事業をしたいのなら、出来るだけ会社に近い場所が良いだろうと思い、5年前唐津の中心地へと引越してきた。

唐津市へ移住した小田切さんは耕作放棄地だった農家の土地を利用した化粧品開発を行った

TokoWakaファームのハーブを採取

そこからの活躍は目覚ましく、高校生のクラウドファウンディングを使った化粧品プロデュース、耕作放棄地だったみかん農家の土地を利用した化粧品開発。Hana Marche(毎年5月に行われる美と健康の祭典)のプロデュース等数々のイベントを成功に導いてきました。

でも小田切氏は正直にいう「俺は唐津最高、唐津大好き、田舎暮らしに憧れて来ましたとは違う。JCCがあったから唐津に来ただけだ。」

 

ではあなたにとって唐津暮らしとは?と問うと、「都会とは違い、何事も自分で考えて始められる。どんな分野でも先駆者になれるし、1番になれる。」

 

しかし、逆に唐津で懸念していることもあるという。
「唐津では、住んでいる人の価値観を表現する場所がない。このままでは、せっかくいい人材がいたとしても、埋もれてしまいもったいない。次世代のクリエイターを育てるべく、子供達のお手本になる大人をもっと育てるべき。その為にはまず自分も子供達のお手本として頑張らなければいけない。」

 

今、世の中にどれだけ自分の生き様に自信がある人がいるのだろう?理想と現実には、必ずギャップがあり、思い通りいかないのが現実だ。しかし、小田切氏のように、オンリーワンな生き方が出来る人間が唐津に増えてくれば、唐津も捨てたものじゃない。自分らしくをモットーに、ブレない男の唐津暮らしは今日も続いていく。

唐津市へ移住した小田切さんは自分らしくをモットーに、化粧品開発に努めている

前列紺のTシャツを着て横たわるのが小田切氏

【Information】

一般社団法人ジャパン・コスメティックセンター
〒847-0013 佐賀県唐津市南城内1-1 大手口センタービル4階
TEL 0955-53-8700
FAX 0955-58-8655
WEB http://jcc-k.com/

唐津移住コラムニスト:AYAKOさん

コラムニスト:AYAKO

3 児の母。埼玉県出身 結婚を機に唐津に移住、現在は子育てをしながら、 佐賀新聞の地域リポーターとして、唐津で頑張っている 団体や小学生、移住者を中心に、月 1 で記事を担当。 そのほか、小学校の放課後遊びのボランティアスタッフや、 読み聞かせ等、地域の子供達の育成に取り組む。 唐津出身ではない、他県から来た自分だからこそ見える、 新たな唐津の魅力を、発信していきたいと思います。

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