唐津暮らし〜ここちよい生活のはじまり

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ラマさんのゼロから始めた農業への挑戦
~ついつい応援したくなる人が住む町唐津~

ラマさんのゼロから始めた農業への挑戦

代表 カンチャ・ラマさん

コロコロとした真っ赤なミニトマトをてんこ盛り両手で包み込み微笑む彼の名はカンチャ・ラマさん。約12年前、ネパールから日本へ来たのは大学生の頃で当時の住まいは愛知県。挨拶程度の日本語しか知らなかったのでジェスチャーを交えながらの生活が始まった。その頃お付き合いしていた現在の奥さんが唐津市出身だった為唐津を訪れた。気候の条件も良く、自然の恵みと繋がる農業ができるのではないかと魅了された。その後移住を決め、結婚した。こうして唐津でミニトマト農家を楽しむラマさんの人生は始まる。

 

農家になろうと思ったきっかけは、大学生活のふとした瞬間にあったという。スーパーへ行くとキャベツ1玉800円。キャベツを購入したラマさんの心はこんな事を呟いた。「1時間アルバイトをして、キャベツが1玉しか買えないなんて、日本の野菜は高い」その年は雨が降らず不作が生活に影響していた。後からこの考えは安易に考えていただけだったと気づいたものの、農業をしたいという想いは日常の何気ない買い物で芽生えたそうだ。

ハウスではラマさんが育てたトマト達が整列している

<ハウスでは収穫を待つトマト達が整列している>

大学で農業を学んだ訳ではないので全くゼロからのスタートだった。農業を始めて一番苦労したのは何と言ってもコミュニケーションだ。言葉や方言が分からず地元の方も外国人とのコミュニケーションには慣れていない。このような状況下で、外国人が農業をするために移住してきたと聞き、みんなで手取り足取り教えてもらえるはずもなかった。

 

「外国人だということが自分の中で1番邪魔になった」とラマさん。「最初は僕が日本に来て農業を始めても、単純にネパールでご飯が食べていけないんだろうとか、仕事がないから日本へ来たんじゃないかとか言われた日もありましたよ。そうじゃなくて、人間1人1人可能性を持っているので、僕は日本の発展の為に自分の力が使えるのではないかと思って来ました」すごく力のある言葉で真っ直ぐ心に刺さった。そしてラマさんはこう続けた。「自分がしている事に自信を持ってやり続けていたら周りは見てくれているから大丈夫」そう信じて黙々と取り組む姿に周りの方の反応は変化していく。

今では、ご近所での農耕具の貸し借りや、技術面の提供、ハウスのビニールかけなど地域の協力が必要な助け合いの絆が構築できているという。「農業は仲間との連携が必要不可欠で、地域密着型の生活は農業を通して学べました」とラマさんのキャップから覗いた笑顔が印象的だった。

イベントでは子ども達がラマさんが育てたミニトマトすくいを体験

<イベントでは子ども達がミニトマトすくいを体験>

こうして人々とコミュニケーションをとる中で大切にしているのは“笑いあい”の時間をはさむ事。「僕おやじギャグが大好きなんです。ムードメーキング、大切だからね。言葉をかけ合せて笑いを誘うのは日本独特。面白いから好きです」農業の合間に日本語の勉強をしつつ、テレビやYouTube、読書で笑いの勉強は欠かさないという。ケラケラ笑う姿は子どものように無邪気だった。

 

ゼロから農業を始めて5年目。農業を始めたことで色んな方と繋がりができ、今年は九州・沖縄地区青年農業者会議「意見発表の部」に出場する機会を得た。未来のビジョンを熱く語り、結果は見事優勝。全国大会へコマを進めた九州代表の外国人は歴代初であり、佐賀県から80名ほどの応援者が東京へ駆けつけた。挑戦をするラマさんの姿は人々の心をグッと掴むパワーがあったに違いない。

全国大会へコマを進めた九州代表の外国人はラマさんが歴代初

<青年農業者会議九州大会の表彰・一番右ラマさん>

取材の終盤に聞いた言葉も素敵だった。「農業をしているのは“生きるため”それだけなんです。生きる力をつけるために土をさわる。水・土・光さえあれば世界のどこでも農業は楽しめるでしょ。この力は僕、自信あります!」生まれ育ったネパールとは違う環境や文化、言葉の壁に立ち向かう姿はたくましい。

ラマさんの活動は唐津だけに留まらず、その行動力は休むことを知らない

<ハウスで作業中のラマさん>

ラマさんの活動は唐津だけに留まらない。夢はでっかく!いくつでも叶えたい!その行動力は休むことを知らない。国内においては徳島県へ足を運びコラボできる商品作りに取り組んでいる最中。去年から故郷・ネパールでの農業改革も独自で始めた。ラマさんが知り合いにテレビ電話を通じて農業の技術をシェアしながら、日本で作れないスパイスや薬草が収穫できないかチャレンジしたいという。また、オーストラリアは日本と気候が逆なので収穫時期をずらしながら海外展開できるのではないかという壮大な景色を想像するものまで。いくつ叶えられるか楽しみだと目を細めて笑い、時代の流れを読む作り手の規模拡大は続いていく。

 

唐津には外国人も受け入れる土壌が整っている。唐津にはチャレンジできる場所がある。唐津にはそのチャレンジを支えてくれるたくさんの応援者が住んでいる。協力者を引き寄せるラマさんの人柄がそう物語っていた。自分から動き出さないと何も始まらないが、動いたら何かが起こる町、唐津。昨日まで知らなかった人が今日仕事仲間になる事も大いにある人の繋がりがある町、唐津。山も海も青い空もキレイな星たちもそろったこの地であなたなら何を選びますか?その面白さに惹かれ、やってくる大人の本気の遊び場が、ここ唐津にはある。

ラマさんが収穫した直後のかごいっぱいのミニトマト達

<収穫直後のかごいっぱいのミニトマト達>

【Information】

TPP農園
https://www.facebook.com/profile.php?id=524919376
代表:カンチャ ラマさん
TEL:090-6099-8808
定休日:無

唐津に移住した山口さやかさんの写真

コラムニスト:山口さやか

出身地は福岡県八女市。
福岡県で22年間過ごし、2008年10月に唐津に移住。
会社員、営業マン、個人事業、接客業など仕事を通して
人との出会いが自分に成長をもたらすことを体感する。
そんな環境のなか経済学や帝王学にふれ、大人になって
勉強するって楽しい!と自分の心と向き合い始める。
その経験を子育てに役立てたいと、現在は
“何でもやってみよう!”と成長を見守る毎日。
苦手だった読書が今や趣味となり、
親子で図書館へ行く日も多い。
住居は山の中。3児の母であり、自由な女性でありたい。

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