【唐津人】“未来のおとな”を育てる人へ
私は4人の子どもを育てている。
ほとんどのお母さんがそうであるように、子どもたちの未来を良くしたいと心から願っている。でも、未来のために何か行動できているか、と問われれば、 我が子の健康を気遣うことぐらい。そんなお母さんが多いのではないだろうか。そんな中、子育てと仕事、そして大学院で研究をもしながら、子ども達のために動き続けている、すごい女性がこの唐津にいる。
edu ラボ、百武あかねさんだ。
edu ラボとは、子どもたちの「やってみたい!」という想いを一緒になってカタチにしていくことを目的とし、2016年5月に唐津で発足したグループ。ホームページには、「プレゼントの箱を開ける時のようなあのワクワクした気持ちで!をモットーに、子ども達にとって新たな発見、体験、出会いとなるイベントを計画しています。」とある。
現在行われているプロジェクトは全部で9つあり、すべてに共通していることは、“きっかけの種まき”をしているということ。
その中で子どもたち主体のプロジェクトが2つ。
① origami プロジェクト…世界平和を願う小学生から生まれたプロジェクト。折り紙で製品を作り、販売し、収益金を被災地などに寄付している。
② みんなの海プロジェクト…世界中みんなの海をきれいにしたいと願う小学生から生まれたプロジェクト。世界とつながる、唐津の海の掃除をしている。
(edu ラボ 百武あかねさん)
(みんなの海プロジェクト活動中)
他、科学の最先端を、大学で研究している先生から直接学ぶことが出来る“親子 de サイエンス”“サイエンスカフェ”など、提供型のプロジェクトが7つある。
活動を始めたきっかけを、あかねさんに伺った。
「始まりは origami プロジェクトです。娘が『こういうことをやってみたい!』と言った時に、一緒に何かしたいと思ったのがきっかけでした。それと並行して、親子 de サイエンスもスタートしました。私自身理科があまり得意ではなかったので、小学生の内に科学の面白さがわかっていたら、中学・高校で違っていたかなぁと思い、この唐津で始めることにしました。」
(旧大島邸で開催されたサイエンスカフェ)
ただ単に子ども向けにイベントを提供するのではなく、子ども達の知的好奇心をくすぐるきっかけを作り提供すること、子ども達が活躍できる場を提供することを大事にしている。
(origami プロジェクト活動中)
(親子でサイエンス『キノコと香りのはなし』
たくさんの珍しいきのこが会場に!)
前回(9/2)の親子 de サイエンスで、子どもたちの確かな成長を、胸が熱くなるほど感じたと言う。
「(大学の)先生に『子どもの時、どんな自由研究をしましたか?』と質問した子が『どんな研究をしているの?』と逆に聞かれた時も、物怖じせずに堂々と自分がしていることを話していて。彼らが自分たちの想いをひとつひとつカタチにしてきたことが、実を結んでいる証拠かな、と。簡単に手に入ることで はなくて、ちょっと難しい事でもそこに敢えて飛び込んで面白さを見つける力。子ども達は確実にこの力を手にしています。」
私も4人の子ども達を連れていくつかのイベントに参加したが、3歳の子は大いに楽しみ、6歳の子は「大学の先生になりたい」と言い出し(月に何日もヘビやカエルを捕まえに行きますと聞いたから)、10歳の子は身近な不思議の謎解きに数学が使われることを知った。そして13歳の子は今の自分と深く向き合うきっかけとなったと言う。親が、この(年齢の)子にはまだ難しいだろう、と決めつけるのはもったいない。大人が思う以上に、子どもはその年齢だからこそ見つけられる宝物をちゃんと見つけている。
子どもたちの前では、彼らを“未来のおとな”と呼ぶあかねさん。
「言葉って不思議で、子どもっていうと、大人が育てている存在、まだ認められてないイメージが私にはあって。それより、“未来のおとな”って呼ばれると、一人の人間として認められているっていう肯定感、責任感を持つことが出来、大人が考えもしないような力や発言が出てくる。“子どもだから”ではないですよね。そこを意識しています。」
(イベント終了後、感想を出し合っているところ)
edu ラボの活動の中で大切にしているものは、子どもたちから湧き出てくる想い。
それこそ“子どもだから”ではなくて、きちんと想いを認めてあげること。
「間違っていることなんてなくって、今、9歳なら9歳、10歳なら10歳のあなたたちの想いが大切だって、貴重だっていう話をよくしています。大人になった時に同じように思えるかっていうとそうじゃないんだよって。」とあかねさん。こんな風に、人に自分の想いを認められた子どもは、周りの人の想いも認め、尊重できる人になるだろう。
唐津には、あかねさんのように、子ども達のためにどんなに大変でも諦めず行動してくれる人がいる。子どもたちにきっかけの種を渡してあげられるかは、後は私たち親次第。
未来のおとなたちが、日常の中に散りばめられた、キラキラした面白さを見いだせれば、だいじょうぶ。未来は明るい。
さぁ、一緒にきっかけの種をまこう。
コラムニスト:Kyoko
4児の母 ピラティスインストラクター指導歴9年
四国・湘南・東京・熊本など、各地で高校生から70代の女性を中心に、ピラティス・筋膜リリースをはじめ、身体の正しい使い方・セルフケアを指導。身体が軽いと、産後はもっと楽しくなる事を伝えたいと、赤ちゃん連れ可能なレッスンや産前産後ケアも対応している。腰痛が改善し、一晩ぐっすり眠れるようになった70代女性や産後の尿漏れが解消した30代女性など、幅広い層から支持を得ている。
2016.8唐津に移住。現在は、移住先の築100年越の古民家で、無農薬無肥料でお野菜やハーブを育てながら、夫と4人の子どもたちと暮らしている。
ブログ:https://ameblo.jp/mjukpilates/