住みごこちのよい唐津を実感
無農薬・無化学肥料にこだわった野菜作り
唐津を象徴する鏡山。その中腹に加茂さん夫妻が営む菜園がある。浜玉町市街地、山間地、遠くは唐津湾まで見渡せる。宇宙(たかみち)さんは、大学卒業後コンピューター関連の企業に就職。実家でも小さな菜園をしていたことから、自身も家庭菜園に目覚めたという。コンピューター会社を退職後、千葉の有機農家で農業研修を受け、地元唐津の浜玉町にUターンと同時に独立し、「そらの菜園」を創業するに至っている。
元々唐津に戻りたいという願望があり、こっちにきて自分が活かせることを考えてたどり着いたのが、地元唐津での農園だったという。帰郷の際、乗車するJR筑肥線。右手には唐津湾と虹の松原、その先には唐津城。左手には故郷の浜玉町や緑が広がる山々。この景色が目に入ってきた瞬間、「戻ってきたなぁ」と実感したとのこと。
「唐津は、山・海の自然、焼き物や祭りなどの文化もあるし、生活上も何ら不便はない」栃木県出身の妻・美幸さんも「買い物など不便に感じることはまったくない。人も温かいし、都会過ぎず、地域のコミュニティが残っておりバランスがいい。とても子育てしやすい環境」さらに「やっぱり海が近いこともあって、魚が美味しい。こっちに来てから魚を使った料理を覚えています。それと郷土料理も」 美幸さんは栄養士の免許を持っている。この資格を活かして「そらの菜園」では、採れた野菜を使ったレシピをつくり、宅配野菜と一緒に同封している。消費者からの評判も良いようだ。
「そらの菜園」は無農薬・無化学肥料の野菜作りをしている。有機農業は、宇宙さんが農業を志した時からの信念で、資源循環型の農業に共感したことから始めたという。「お客さまには、うまみのぎゅっと詰まった旬のものを届けたい。やっぱり旬のものは味が濃い。魚でいうと脂がのっているみたいな感じですね。野菜そのままの味を堪能できます」と宇宙さん。 現在は、市場にあまり出まわらず、普段食卓に上がらない珍しい品種の生産に力をいれている。関東を中心に朝採れ野菜を宅配しているほか、福岡などで行われるマルシェなどに出店しているという。
浜玉町では、7月中旬に 浜崎祇園祭 が行われる。江戸時代から続く伝統ある祭りで、高さ15mにおよぶ豪華絢爛な3台の山笠が浜玉町市街地を練り歩く。宇宙さんも曳き方の1人。今年は長男の優生ちゃんも祭りに加わるようだ。
祇園祭の準備と野菜の生産・収穫で今から(取材時は6月中旬)の時期は多忙を極める。ただ、そう語る宇宙さんの顔はうれしそうに見える。好きな農業、好きな祭り、好きなまち。加茂さん一家の多忙な生活の中に、Uターンを満喫している姿が垣間見ることができた。
【加茂さん夫妻の菜園「そらの菜園」】
住所:唐津市浜玉町浜崎1504-1
電話:0955-56-6830
ホームページ:http://sorano.jp.net/