唐津暮らし〜ここちよい生活のはじまり

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ここだからできる、作家の暮らし

陶芸家

石井義久さん

唐津の豊かな自然によって生み出された土を使って作られる『唐津焼』。石井義久さんは埼玉から唐津に移住し、『石井窯』で活動する若手作家です。 修行期間から現在に至るまでの唐津での暮らしをうかがいました。

1989年生まれ。埼玉育ちの石井さんは陶芸家のお父さんの影響を受け陶芸家の道を志すように。 「原材料の産地で学びたい」と佐賀県立有田窯業大学校へ。卒業後にアメリカ・韓国で学んだの ち、唐津で活躍する陶芸家・矢野直人氏に、3年間住み込みで弟子入りしました。

 

修行では師匠の作陶の助手をしながら陶芸を学んでいきます。指導方法は、弟子が見て学ぶこと を重要視する師匠さんや、工程を作って段階的に教える師匠さんなど窯元によってさまざまです。 石井さんが学んだ師匠さんは前者の方で「質問があれば答えるよ」というスタイルだったそう。 その環境は石井さんにとって「自由に学ばさせてくれてとても合っていた」と話します。 さまざまな作業をやりますが、毎日の主な作業は午前中に作業場の清掃、作品を作る下準備(釉薬作りや土作りなど)、師匠が集中して作業ができるようコーヒーの準備など。午後からは師匠 が作品作りに取りかかり、弟子はそれを見て学びます。

修行期間、登り窯の補修作業をしている石井さん

修行では大変なことも多かったと思いますが、どのように気分転換されていたのでしょう? 「夏には師匠が唐津の海に連れて行ってくれたことをきっかけに、海で泳ぐのが好きになりよく通っていましたね。冬には焼物を作る上で必要な薪を割って火をつける作業をしていて。最近はキャンプが流行っているし、焚き火の動画を見て心が癒やされるという人もいるけど自分は陶芸家の生活の中で自然とふれあい、気分転換できる機会が日常的にありました。」と振返り、自然とのつながりが石井さんのリフレッシュに大きく貢献していたことが分かります。

そんな石井さんが作品作りにいそしむ『石井窯』は、唐津市街から佐賀市方面へ車で20 分ほどの相知町佐里にあります。

見帰りの滝や蕨野の棚田など山里らしい風景が広がる自然豊かな地域です。

豊かな自然の名所、見帰りの滝(相知町伊岐佐)

鵜殿石仏群は石井さんのお気に入りスポット(相知町天徳)

唐津市の空き家バンクで物件を見つけ、道具を揃え、石井窯としてスタートした石井さん。「しかし独立してからの最初は難しいことも多かったです。弟子がやる仕事も全部自分でやらないといけないので大変でした。また師匠がいたから自分に厳しくできていたけれども、自分が責任者 になるとそれが難しかったです。」 そんな駆け出しの石井さんを応援してくれたのが修行時代にやっていたアルバイトで出会った人たちです。師匠やそのつながりで紹介を受けて始めた居酒屋とカフェでのアルバイト。一見、陶芸と関係があるのかな?と思えるようですが今の陶芸家としての活動につながっています。 居酒屋のアルバイトで出会ったお客さんが石井さんのことを応援して作品を買ってくれたことがあり「人との出会いに本当に感謝している」と話します。 カフェのアルバイトではオーナーの方が声をかけてくれ「わかものやきものプロジェクト HIZEN5」の一員として商品の企画から関わり、製品化するという経験をしました。

 

わかものやきものプロジェクト HIZEN5とは、5つの焼物の産地(唐津焼・伊万里焼・武雄焼・嬉野市肥前吉田焼・有田焼)と佐賀県が立ち上げたブランド。各地域にいるプロデューサーを中心とし、若手作家たちが文房具やアクセサリーを製品化。石井さんは唐津焼で作る万年筆の作品に携わりました。

 

わかものやきものプロジェクト HIZEN5 ・・・https://hizen400.jp/wakayaki/

石井さんが携わった作品

石井さんの唐津焼への思いをうかがうと「自分は素材を生かした作品を作りたいと思ってるの で、自分で材料の土も採取したい。唐津焼は基本的に原材料の土を自分で採ってきて作るので、そこが自分に合っている。」と石井さん。 また「料理屋さんに来たお客さんが、料理の盛られた自分が作った器を見て、この器はなんでこ んな形をしているんだろう?と疑問を持ったり、他にもこんな使い方ができるな、と想像しても らえたらと思いながら作っています。」と話します。

 

素朴な雰囲気の中にシャープさを感じる石井さんの作品。日常の中でひと呼吸おいて過ごすような上質な時間をもたらしてくれます。

唐津には約70もの窯元があります。唐津焼と一口に言っても、その背景には人との出会いや自然とのつながりが陶芸家の感性となって、個性豊かな作品が生み出されています。 ぜひ窯元やギャラリーを訪問して、陶芸家さんとも話して、唐津焼の世界、唐津でのものづくりの世界について知ってみられるのはいかがでしょうか。

石井窯にある展示室

【Information】

石井窯

唐津市相知町佐里1960

TEL:080-6592-7682

コラムニスト:岡部寛子

唐津で生まれ育ち進学を機に東京へ。2017年にUターンしてから 「唐津ってこんなにいいところがたくさんあるんだ!」と再発見。 唐津の人がもっと唐津を楽しく過ごせる何かをしたいと思い立つ。 まずは自分にできる小さいことから取り組もうと朝読書会の開催 やレンタルスペースの運営等を行っている。湊町にあるドームハ ウス唐津の管理人。健康オタクで趣味は唐津の健康・美容スポッ ト巡り。

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