誰一人孤立しない町へ~お母さんが笑えば、子が笑う~
0-100地域互助力向上ネットワーク地域の輪 代表 中島直子さん
『地域から孤立をなくしたい』
その願いから出来上がった0-100地域互助力向上ネットワーク 地域の輪(以降:0-100)。
その代表を務めるのが、中島直子さん。
神奈川県出身で結婚を機に唐津に移住。
現在、可愛く元気なお子さん3人の子育て真っ只中のお母さん。
0-100の思いは「地域から孤立をなくすこと」。
孤立と聞くと老人の一人暮らし、地元から離れて暮らす若者。
そんな風に実際に一人で生活している人を想像しがちである。
でも、子育て中のお母さんや引きこもりの状態にある方やその家族、引っ越して来たばかりで町に知り合いがいないなど、身近に頼ったり、支え合ったりする人がいないことも「孤立」といえるのではないだろうか。
私も2児の母親なのだが、子育てをしていると時折「孤立」を感じることがある。
子どもとの時間は楽しいが、自分が社会から閉ざされてしまっているような感覚。
「家族がいれば孤立じゃない」ということではない。
必要な時に頼れる人や場所は、誰しもが必要なものである。
お互いが関心を持ちあえば、できないことを聴き合い、助け合うことができる。
そんなつながりを広げていく活動をしているのが0-100。
リトミックを通してお母さんとつながる直子さん
直子さんはベビーマッサージやリトミックの教室を開催する中で、多くのお母さんと関わり、「日本のお母さんは忙しすぎる」ということを感じたという。
男女平等といわれて久しいが、まだまだお母さんの負担が大きいのが現状。
お母さんが、『○○ちゃんのお母さん』という立場以外になれる場所。
お母さんが社会とつながれる場所の必要性。
例えば、子育て10年のお母さんが年配方と関わると若いお母さんになり。
子育て10年のお母さんが若いお母さんと関わるとちょっと先輩お母さんになり。
子育て10年のお母さんが地域の子どもと関わると人生の先輩になり。
関わる相手で自分の立場が変わる。
『○○ちゃんのお母さん』以外の何かにしてくれる。
それは多くの世代の方と関わることで可能になる。
お母さんから始まった活動も今では、引きこもりの状態にある方や高齢の方など活動の幅は年々広がっている。
0歳から100歳までの誰ひとり孤立せずに、安心して暮らせる町にするために。
多世代で起きていることに関心を寄せることができれば、町はもっと住みやすくなる。
0歳から100歳がつながることで助け合える。
リトミックを通してお母さんとつながる直子さん
0-100の代表的な活動には「お母さんの居場所作り」や「知る機会の提供」「いのちの授業」がある。
「お母さんの居場所作り」ではベビーマッサージやリトミックなど、子育て中のお母さんが集まれる場所を提供。
「知る機会」では、唐津市長と話す会や、唐津市内の病院の先生等を呼んでの講座などを行う。
他にも地域の高校生とコラボしたイベントや地域の様々な市民活動団体を集めて話す会を開催。
「いのちの授業」では地域の小学校に出向き、子ども達が自分や他人の苦しみから逃げずに歩み続ける力について学ぶ授業を実施。
今後は地域のコミュニティカフェを基点として新たな活動も計画されている。
とにかく誰ひとりも孤立しない町をつくるために活動されているのだ。
地域のコミュニティカフェとの連携も進んでいる
0-100には直子さんが作詞・作曲を手掛けたテーマソングがある。
それが「つなぐ」という歌である。
この曲には直子さんの0-100への想いがギュッと込められている。
「あなたの声を聴かせてほしい あなたのことを教えて」と伝えるこの歌には目の前にいるあなたは決して一人ではない。
あなたには支えてくれる人がいることを教えてくれる。
決して何かを押し付けるのではなく、「声を聴かせてほしい」とあなたに寄り添う。
0-100のテーマソング「つなぐ』
移住するということは楽しみが大きい分。
不安はつきもの。
でも、唐津にはこのように孤立をなくしたいと思って活動している人がいて、近くで困っている人がいるのなら手助けしたいという人が多く存在している町なのである。だれかとつながっていることがその人の生きる力になる。
0歳の赤ちゃんから100歳の老人になるまで、住んでよかったと思える場所に向かって成長していっている町唐津。
あなたも関わっていきませんか。
【Information】
コラムニスト:あず
生まれも育ちも唐津市。『ただ住む場所』だった唐津。子育てを機に、仕事以外で出会う人が増え、『こんなに面白い人や場所』があふれる場所であったことに気が付く。この『魅力』を発掘し発信するべくコラムニストに挑戦。知るたびに唐津を好きになっていく。また、自分自身も地域を盛り上げる人になりたいという思いが膨らんできて、自分にできることを模索している。現在かわいい2人の子どもたちの育児も絶賛満喫中。